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特定技能・育成就労・技能実習の違いを比較【必須業務となる業務区分と関連業務編】

2026年06月26日

特定技能育成就労技能実習

特定技能・育成就労・技能実習の違いを比較【必須業務となる業務区分と関連業務編】

特定技能・育成就労・技能実習では「業務割合」の考え方が異なります

外国人材の受入れを検討する際、実務上よく問題になるのが、外国人にどの業務をどの程度行わせることができるかという点です。

特に、技能実習では「必須業務」、「関連業務」、「周辺業務」という割合管理があります。

一方で、育成就労では、技能実習のような「作業」を見直し、「業務区分」として、必須業務の割合が変更されています。

さらに、特定技能では、技能実習のような一律の業務割合ではなく、特定産業分野ごとの「業務区分」ごとに認められる業務を中心に判断します。

そのため、同じ外国人雇用制度であっても、次のように考え方を分けて整理する必要があります。

3制度の比較表

制度

主たる技能・必須業務の割合

関連業務・周辺業務

安全衛生業務

実務上の注意点

技能実習

必須業務は全体の2分の1以上

関連業務は2分の1以下、周辺業務は3分の1以下

必須業務・関連業務・周辺業務の各業務について、10分の1以上

技能実習計画に基づき、職種・作業ごとに業務割合を管理します。

育成就労

必須業務は業務時間全体の3分の1以上

技能実習の「関連業務」、
「周辺業務」の区分は廃止

業務時間全体の10分の1以上

「主たる技能」を選定し、業務区分内の業務又はこれに関連する業務として整理します。

特定技能

一律の割合基準はありません

日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事可能

一律の割合基準はありません

業務区分外の業務を、関連業務として大部分行わせることはできません。

技能実習は「必須業務2分の1以上」が基本

技能実習制度では、技能実習計画において、職種・作業ごとに「必須業務」「関連業務」「周辺業務」を整理します。

技能実習における業務割合は、原則として次のとおりです。

業務区分

割合

必須業務

全体の2分の1以上

関連業務

全体の2分の1以下

周辺業務

全体の3分の1以下

安全衛生業務

必須業務・関連業務・周辺業務の各業務について10%以上

技能実習は、あくまで技能等の修得・習熟・熟達を目的とする制度です。そのため、単に人手が足りない業務に従事させるのではなく、技能実習計画に記載した必須業務を中心に、計画どおり実習を行う必要があります。

例えば、技能実習の対象職種・作業に関係の薄い補助作業や雑務を中心に行わせることは、技能実習制度の趣旨に反する可能性があります。

育成就労は「必須業務3分の1以上」へ

育成就労制度では、技能実習制度の「職種・作業」単位から、特定技能制度との連続性を意識した「分野・業務区分」単位へと整理が変更されます。

育成就労における業務割合は、主に次のとおりです。

項目

割合

必須業務

業務時間全体の3分の1以上

安全衛生業務

業務時間全体の10分の1以上

技能実習では、関連業務・周辺業務という区分がありましたが、育成就労制度ではこれらの概念はなくなります。必須業務と安全衛生業務以外については、業務区分内の業務又はこれに関連する業務であれば従事することが認められる整理です。

ただし、必須業務が3分の1以上であれば、それ以外の業務を自由に行わせてよいという意味ではありません。

育成就労では、分野別運用方針で定められる「主たる技能」の中から、育成就労実施者が修得させる主たる技能を選定し、計画的に育成・評価を行う必要があります。そのため、必須業務として認められない業務に専ら従事させることや、技能試験の合格レベルに到達しないような業務構成とすることは、育成就労計画の認定上問題となります。

特定技能は「何割まで」という一律基準ではない

特定技能では、技能実習のように「必須業務50%以上」「関連業務2分の1以下」という一律の割合基準はありません。

特定技能外国人が従事できるのは、原則として、試験等により有すると認められた技能を必要とする業務です。そのほか、当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に、付随的に従事することは認められます。

もっとも、この「関連業務」は、本来業務に付随する業務を認める趣旨です。別の業務区分の主たる業務を、関連業務として大部分行わせることまでは認められません。

例えば、ある業務区分で特定技能の許可を受けている外国人に対し、実態として別の業務区分の業務を中心に行わせる場合には、在留資格上の活動内容と実際の業務内容がずれる可能性があります。

この点は、建設分野や工業製品製造業分野など、複数の業務区分がある分野で特に注意が必要です。

「日本人もやっている関連業務」だけでは足りない場合があります

特定技能では、関連業務について「日本人が通常従事する業務であるか」が一つの判断要素になります。

しかし、実務上はそれだけでは足りません。

確認すべきポイントは、次の3点です。

1.外国人本人が許可を受けた特定産業分野・業務区分に含まれる業務か
2.関連業務が本来業務に付随する程度にとどまっているか
3.実態として、別分野・別業務区分の主たる業務になっていないか

特に、業務時間の大部分を別の業務区分に該当する作業が占める場合には、「関連業務」と説明することは難しくなります。

そのため、特定技能では、単に「日本人も同じ業務をしているから大丈夫」と考えるのではなく、分野別運用要領、業務区分、試験区分、雇用契約、実際の作業内容を整合させる必要があります。

比較すると、3制度の管理方法は大きく異なります

技能実習は、技能実習計画に基づく業務割合の管理が中心です。
育成就労は、必須業務3分の1以上、安全衛生業務10分の1以上を前提に、主たる技能の育成に向けた業務構成が求められます。
特定技能は、割合表ではなく、特定産業分野・業務区分ごとの業務該当性と、関連業務の付随性が重要になります。

したがって、企業が外国人材を受け入れる場合には、制度ごとに次のように確認する必要があります。

制度

確認すべき中心事項

技能実習

技能実習計画上の必須業務・関連業務・周辺業務の割合

育成就労

主たる技能、必須業務3分の1以上、安全衛生業務10分の1以上、育成目標との整合性

特定技能

特定産業分野・業務区分、試験区分、関連業務の付随性、実際の作業内容

まとめ

特定技能、育成就労、技能実習は、いずれも外国人材の就労に関する制度ですが、業務割合の考え方は大きく異なります。

技能実習では、必須業務50%以上という明確な割合基準があります。
育成就労では、必須業務3分の1以上、安全衛生業務10分の1以上という基準を前提に、主たる技能を育成する計画が必要です。
特定技能では、一律の業務割合ではなく、認められた業務区分の範囲内で本来業務を行い、関連業務は付随的な範囲にとどめる必要があります。

特に、複数の業務区分がある分野では、「実際の作業内容」と「在留資格上認められた業務区分」が一致しているかを慎重に確認することが重要です。

当法人では、特定技能、育成就労、技能実習の制度比較だけでなく、建設分野、工業製品製造業分野、外食業分野、介護分野など、分野別の業務該当性についても確認し、受入れ計画や在留資格申請に必要な整理をサポートしています。

参考:分野別の業務区分確認が必要な例

次のような場合は、個別に業務区分の確認が必要です。

確認すべき点

建設分野で、土木・建築・ライフライン設備にまたがる作業がある場合

建設業許可の業種名ではなく、特定技能の業務区分に含まれるかを確認

工業製品製造業分野で、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理にまたがる作業がある場合

試験区分・業務区分と実際の作業内容が一致しているかを確認

技能実習から特定技能へ移行する場合

技能実習の職種・作業と、特定技能の業務区分に関連性があるかを確認

育成就労から特定技能1号への移行を予定する場合

育成就労で修得する主たる技能が、特定技能1号の業務区分と連続しているかを確認

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


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- 資格等

特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


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