子が18歳以上の「家族滞在ビザ」
2026年07月29日
家族滞在ビザ
子が18歳以上の「家族滞在ビザ」
年齢制限より、成人後の扶養実態と来日目的が重要です
在留資格「家族滞在」の対象となる「子ども」について、法令上、一律の年齢上限は定められていません。出入国在留管理庁のQ&Aでも、扶養を受ける前提であれば、特に年齢の制限はないと案内されています。
したがって、18歳、20歳、22歳など一定の年齢を超えただけで、当然に申請できなくなるわけではありません。
しかし、家族滞在は、扶養者の扶養を受ける配偶者または子どもが行う「日常的な活動」のための在留資格です。子どもが成年に達し、学校を卒業し、就職できる年齢になるほど、現在も親の扶養を受ける必要性、日本へ来る目的、就労予定の有無について、具体的な説明が重要になります。
18歳以上の子どもが難解事案になりやすい理由
成年後も扶養を受ける必要があるか
幼い子どもは、一般に親による養育・扶養の必要性が明確です。
これに対し、成年の子どもは、就職、結婚、独立した生活が可能な年齢であるため、次の点が確認されやすくなります。
・現在、学校に在学しているか
・卒業後にどのように生活しているか
・本国で就職した経験があるか
・子ども自身の収入・預貯金があるか
・生活費を誰が負担しているか
・扶養者から継続して送金を受けているか
・結婚して独立した世帯を形成していないか
重要なのは、年齢そのものではなく、現実に扶養を受ける子どもとして生活しているかです。
日本での目的が就労ではないか
成年の子どもが学校を卒業し、本国で働いていた場合、日本へ来る真の目的が家族生活ではなく就労ではないかという疑問が生じることがあります。
特に、次の事情が重なる場合は慎重な申請が必要です。
・日本での就職先やアルバイト先が事実上決まっている
・来日後の就学予定がない
・扶養者の収入だけでは世帯の生活費が不足する
・子ども自身が生活費の大部分を負担する予定である
・家族との同居予定が明確でない
・申請直後から週28時間に近い就労を予定している
日本で専門職としてフルタイム就労する予定があり、学歴・職歴・仕事内容が就労資格の要件を満たす場合は、家族滞在ではなく、就労資格を直接取得する方法も比較します。
なぜ成人後に呼び寄せるのか
扶養者が何年も前から日本に在留しているにもかかわらず、子どもを成人後に初めて呼び寄せる場合は、申請時期の理由が問題になります。
例えば、次のような事情が考えられます。
・本国の学校を卒業するまで祖父母等が養育していた
・扶養者の収入や住居が安定するまで待っていた
・家庭・渡航・感染症等の事情で以前は来日できなかった
・祖父母の高齢化・病気により養育継続が難しくなった
・子どもの健康・生活上の事情が変化した
・日本での進学先が決まった
・家族が日本に生活基盤を移すこととなった
理由書だけでなく、在学・卒業資料、送金記録、診断書、家族の申述書、住居資料などで裏付けることが重要です。
許可可能性を検討しやすいケース
次の事情がある場合は、扶養実態や来日目的を説明しやすくなります。
・本国の高校・大学等に在学中で、扶養者が学費・生活費を負担している
・卒業直後で就職歴がなく、現在も親の扶養を受けている
・扶養者から継続的な送金を受けている
・日本で家族と同居する住居が確保されている
・日本での進学・日本語学習等の具体的な予定がある
・成人後に呼び寄せる合理的な事情を客観資料で示せる
・子ども自身に独立した収入・世帯がない
これらの事情があるだけで許可が保証されるわけではありません。扶養者の在留資格、収入、家族人数、過去の申請内容等を含めて総合的に判断されます。
慎重な検討が必要なケース
次のような場合は、家族滞在への該当性や他の在留資格を含めて検討します。
・本国で長期間、正社員として働いている
・子ども自身に安定収入や十分な資産がある
・既婚で、配偶者や子どもと独立した世帯を形成している
・日本で働くことだけが具体化し、家族生活の予定が不明確
・扶養者からの送金・養育実績がほとんどない
・扶養者との別居期間が長く、交流資料も乏しい
・過去の認定・査証申請で家族関係を申告していない
・扶養者の収入が不安定で、成人した子どもの収入を前提にしている
特に「子ども」という身分関係があっても、現実には独立して生活している場合、家族滞在の前提となる扶養関係の説明が難しくなります。
18歳以上の子どもの申請で整理する事項
出生から現在までの家族関係
・扶養者との親子関係
・過去の同居・別居時期
・誰が養育してきたか
・扶養者と子どもの連絡・交流
・扶養者の来日後も親子関係が継続しているか
就学・就職歴
・学校名、在学期間、卒業時期
・現在の在学・休学・卒業状況
・就職歴、職種、勤務期間
・現在の職業・収入
・来日後の就学・進路予定
経歴に空白期間がある場合も、事実に沿って生活状況を説明します。
扶養・送金の実態
・学費・生活費を誰が負担しているか
・送金の頻度・金額
・現金手渡しの場合の経緯
・子ども自身の収入・資産
・日本での生活費の見込み
・扶養者が他に扶養する家族の人数
送金記録がない場合は、それだけで直ちに申請できないわけではありませんが、現金の授受や第三者を通じた送金をどのように立証するかが課題になります。
来日後の生活計画
・扶養者との同居場所
・住居の広さ、家賃
・生活費の負担者
・学校・進学・日本語学習の予定
・資格外活動を希望する場合の位置付け
・将来、就職する場合の在留資格変更方針
「来日した後に考える」ではなく、家族生活を中心とする具体的な予定を示すことが重要です。
準備を検討する資料
通常の家族滞在申請書類に加えて、次の資料を検討します。
・出生証明書・家族関係証明書
・子どもの履歴書または経歴書
・在学証明書・成績証明書・卒業証明書
・退職証明書・無職であることの説明
・扶養者からの送金記録
・本国での学費・生活費の支払資料
・扶養者と子どもの通話・メッセージ・訪問記録
・日本での入学許可書・進学予定資料
・日本での住居資料・同居予定
・成人後に呼び寄せる理由書
・扶養者・子ども・本国の養育者の申述書
・健康上の事情がある場合の診断書
・親権・監護権やもう一方の親の同意資料
すべての案件で同じ資料が必要になるわけではありません。審査上の疑問に対応する資料を選び、提出資料同士が矛盾しないように整理します。
申請理由書で説明するポイント
18歳以上の子どもの理由書では、感情的に「家族で暮らしたい」と述べるだけでなく、次の流れを時系列で示します。
1.親子関係とこれまでの養育状況
2.扶養者が先に来日した理由
3.子どもをすぐに呼び寄せなかった理由
4.現在の就学・就職・扶養状況
5.今回呼び寄せることとなった事情
6.日本での同居・生活・進学計画
7.扶養者の収入と世帯収支
8.就労が主目的ではないこと
9.将来就職する場合は適切な在留資格へ変更する方針
説明は、過去の在留申請、査証申請、住民票、税務資料等と整合させる必要があります。
他の在留資格を検討する場合
留学
日本で大学、専門学校、日本語教育機関等における教育を受けることが主な目的であり、学校の入学要件や経費支弁等を満たす場合は、「留学」を検討します。
就労資格
日本での仕事内容と学歴・職歴が「技術・人文知識・国際業務」等の要件を満たす場合は、就労資格を直接申請する方法があります。
家族滞在からの変更
家族滞在で来日後に進学・就職した場合も、主な活動が変わる段階で、「留学」または就労資格への変更を検討します。資格外活動許可の範囲内で働いているだけでは、フルタイム就労はできません。
よくある質問
Q1.20歳を超えた子どもでも申請できますか?
申請自体は可能です。一律の年齢上限はありませんが、現在も扶養を受けていること、来日目的、就学・就職状況、呼び寄せの時期を具体的に説明します。
Q2.本国の大学を卒業した子どもは不許可になりますか?
卒業したことだけで不許可になるわけではありません。ただし、卒業後の職歴、現在の収入、扶養実態、日本での生活目的について説明の重要性が高まります。
Q3.本国で働いている子どもを呼び寄せられますか?
勤務の内容・期間・収入、退職後の予定、扶養者との関係などを確認します。独立して生活している実態が強い場合は、家族滞在以外の在留資格も検討します。
Q4.送金記録がありません。
現金手渡し、親族を通じた支払、学費の直接支払など、実際の扶養方法を整理します。送金記録に代わる客観資料が乏しい場合は、申述書だけでなく、周辺資料を組み合わせる必要があります。
Q5.家族滞在で来日後、就職できますか?
資格外活動許可がある場合でも、原則として週28時間以内です。フルタイム就労を始める前に、仕事内容や学歴・職歴に応じた就労資格への変更許可を受ける必要があります。
18歳以上の子どもの申請は、年齢ではなく扶養実態から設計します
18歳以上の子どもの家族滞在ビザは、「何歳までなら許可されるか」という単純な線引きでは判断できません。
現在までの養育・送金、就学・就職歴、親子の交流、成人後に呼び寄せる理由、日本での同居・生活計画を整理し、扶養を受ける子どもとしての活動に該当することを説明する必要があります。
谷島行政書士法人グループでは、通常の家族滞在申請だけでなく、成年の子ども、長期別居、就職経験、前婚の子どもなど、追加立証が必要な案件に対応します。
【主な一次情報】
出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」
https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html
出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格に係る資格外活動許可について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00004.html
CATEGORY
この記事の監修者

-
谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。 ▶ 求人・パートナー募集はこちら
- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。 ▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら
- 対応サービス
- 資格等
特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
最新の投稿
- 2026年8月14日永住永住許可の手数料が20万円へ|2026年10月施行予定の入管法施行令改正を解説
- 2026年7月29日特定技能特定技能「資源循環分野」とは?外国人要件から対象業務区分まで解説
- 2026年7月29日家族滞在ビザ子が18歳以上の「家族滞在ビザ」
- 2026年7月28日特定技能特定技能「資源循環分野」の要件|受入れ企業の許認可と協議会加入を解説
「家族滞在ビザ」関連で人気のコラム
まだデータがありません。




