在留更新不許可の再申請で、CoE不交付理由予測からの立証方針を決める方法
2026年06月05日
コンプライアンス技術・人文知識・国際業務
在留更新不許可の再申請で、CoE不交付理由予測からの立証方針を決める方法
この記事でわかること
〇在留期間更新許可申請が不許可となった後の再申請の考え方
〇在留資格認定証明書(COE)による再申請で重視すべき立証事項
〇不許可通知書の理由から逆算する立証方針の決定方法
〇交通違反等の前科がある場合の対応方法
〇入管実務における資料収集のポイント
はじめに:再申請アプローチによる成功率再現の価値
在留期間更新許可申請が不許可となった場合でも、再度日本で就労するために在留資格認定証明書交付申請(COE申請)を行うケースがあります。
しかし、不許可になった案件をそのまま再提出しても、同様の判断がなされる可能性があります。
そのため、当法人では単に不足資料を追加するだけではなく、「入管がどのような理由で再度不許可にする可能性があるか」を予測し、その理由を先回りして立証する方法を採用しています。
つまり、在留申請の不許可理由形式の予測から、「再申請ではその理由形式で不許可にできないような立証を行うアプローチ」です。
この点、在留期間更新許可申請と在留資格認定証明書交付申請では、法令要件が変わります。例えば素行善良でないことの理由で不許可にされた場合、「相当性」の理由となりますが、相当性の法令要件は在留資格認定証明書交付申請では存在しません。
したがって再申請での不許可理由が変わるため、予測することが必要です。
本記事では、交通違反による前科を理由として更新不許可となり再申請する事例をもとに解説します(名称等架空)。
事例
事案の概要
外国人Aさんは在留資格「技術・人文知識・国際業務」で日本企業に勤務していました。
その後の在留期間更新許可申請において、過去の大幅な速度超過による前科が問題視され、素行不良を理由として更新が不許可となりました。
Aさんは出国準備期間中に帰国し、その後、同じ勤務先(仮称:株式会社未来技研)から再度採用内定を受けたため、在留資格認定証明書交付申請を行うことになりました。
更新申請と認定申請では審査の要件が異なる
更新申請では、
・在留状況
・納税状況
・素行状況
・過去の法令違反
などを総合考慮する「相当性」の判断が行われます。
一方で、認定申請では、
・在留資格該当性
・上陸許可基準適合性
・申請内容の真実性である「非虚偽性」
が中心的な法令要件になります。
したがって、
「更新不許可になったから認定申請も不許可になる」
という単純なものではありません。これがリセットといわれるゆえんです。
しかし、入管は更新時に問題視した事情を認定申請でも考慮する可能性があります。
例えば危険なスピード違反などの交通違反歴がある場合、
「悪い又は危険な外国人を日本に入れたくない」という警戒を審査官に持たれる場合があります。
そのため、在留資格該当性があるか立証されていないことを理由に以下が想定されます。
1.不交付にされること
2.虚偽でないことに疑いがあるなどとされること
3.その他、適切な理由があてはめできず長期審査になること
したがって法令要件の適合は全て立証し、不交付にできない申請を目指すことになります。
そのため、前回不許可となった事情を踏まえた立証が必要になります。
谷島行政書士法人の考え方
不許可通知書の形式的理由から逆算する
当法人では、再申請案件において次の視点で検討します。
まず、
「今回、入管が不交付とするなら、どのような理由を書くだろうか」
を考えます。これは経験と法令解釈でわかります。
そして、
「その理由が成立しないことを事前に立証する」
という方法を採ります。
いわば、
『不許可理由の予測から立証方針を決定する』
というアプローチです。
本件で想定される論点
論点① 在留資格該当性
本当に専門的業務に従事するのか。
学歴・職歴と職務内容に関連性があるのか。
報酬は日本人と同等以上か。
これらについて通常案件以上に詳細な立証を行います。
論点② 活動の真実性及び上陸基準省令適合性
カテゴリー1や2の企業なら、在留資格該当性のウェイトは弱めで足りることが多いです。他が大事だからです。例えば会社が雇用する蓋然性を立証するなら以下が想定できます。
・辞令
・所属機関作成の理由書
なお、受入企業がカテゴリー1またはカテゴリー2に該当する場合は、在留資格該当性に係る活動の真実性については比較的軽めの立証で足りることが多く、上記資料を中心に説明することが一般的です。
一方で、カテゴリー3・4の企業や、過去に不許可歴がある案件では、
・配属予定資料
・業務説明書
・組織図
なども提出し、活動内容の具体性や雇用の実態を補強します。
などを充実させます。
論点③ 申請内容の信用性
入管は過去に問題があった申請人について、より慎重に審査する傾向があります。
そのため、
・事実を隠さない
・違反歴を説明する
・処分内容を説明する
ことが重要です。
交通違反歴がある場合の補強資料
反省文
反省文は単なる謝罪文ではありません。
以下の事項を整理します。
・違反の経緯
・当時の認識
・現在の反省
・再発防止策
推薦書
受入企業から、
・業務上必要な人材であること
・信頼関係が継続していること
・再雇用する意思があること
を説明してもらいます。
良好な運転歴
可能であれば、
・ゴールド免許歴
・長期間の無事故無違反実績
・運転記録証明書
なども有効です。
違反事実を否定するものではありませんが、
「一時的な過失であり、継続的な法令軽視ではない」
ことの補強になります。
「裁量逸脱=厳しすぎる」という主張も有効か
依頼者から、「交通違反で日本から出国することになったのは厳しすぎるのではないか」という相談を受けることがあります。
確かに、
・不法就労
・虚偽申請
・退去強制事由
などと比較すると、交通違反は性質が異なります。
もっとも、実務上は、
「入管が違法である」
と正面から主張するよりも、
「現在は反省し、適法性や遵守の意識が高まっている」または「当初から正当な理由があったが、そのうえで反省している」
などの事実を示した方が効果的な場合が少なくありません。
そのため当法人では、
・違反事実を認める
・深い反省を示す
・再発防止を示す
・現在の適格性を立証する
ことを中心に構成することが一般的です。
谷島行政書士法人が想定する提出資料
個別ケースによりますが、優先度の高い資料は次のとおりです。
|
優先度 |
資料 |
|
高 |
理由書 |
|
高 |
反省文 |
|
高 |
推薦書 |
|
高 |
所属機関作成の非代替性の理由書 |
|
高 |
辞令 |
|
高 |
職務内容説明書 |
|
高 |
違反までの過去のゴールド免許写し |
|
中 |
運転記録証明書 |
|
中 |
勤務評価資料 |
|
中 |
納税資料 |
|
低 |
罰金納付書 |
重要なのは、処分を受けた事実そのものよりも、
「現在、日本で適法に活動する人物であること」
を立証することです。
まとめ
更新不許可後の認定申請では、単なる再提出ではなく、不許可理由を分析したうえで立証方針を設計することが重要です。
特に交通違反等の前科が関係する案件では、
・在留資格該当性
・活動の真実性
・申請内容の信用性
・再発防止
を総合的に立証する必要があります。
当法人では、不許可理由を分析し、想定される不交付理由を先回りして立証することで、高いレベルの再申請案件のサポートを行っています。
お困りの方はぜひご相談ください。
【関係法令等】
・出入国管理及び難民認定法第7条第1項各号
・出入国管理及び難民認定法第20条第3項(在留期間更新許可)
・出入国管理及び難民認定法別表第一の二(技術・人文知識・国際業務)
・上陸許可基準省令(技術・人文知識・国際業務)
・出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」案内
・出入国在留管理庁「在留期間更新許可ガイドライン」
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この記事の監修者

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谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。
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- 資格等
特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他
- 略歴等
・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。
- 取引先、業務対応実績一部
・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他
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