谷島行政書士法人グループ

お問い合わせ
Language

育成就労と技能実習の外部監査は並行する?経過措置の実務を解説

2026年04月25日

育成就労技能実習

育成就労と技能実習の外部監査は並行する?経過措置の実務を解説

この記事でわかること

 〇育成就労と技能実習の経過措置3年間で外部監査義務が並行する可能性

 〇同一の行政書士法人が、両制度の外部監査人を兼ねられるか

 〇兼任可否を左右する独立性・利益相反の注意点

 〇監理団体・監理支援機関が制度移行期に準備すべき実務対応

外部監査人就任サービスをお考えの方はこちら

回答:並行する可能性は高いが、「必ず同一の外部監査人が両方担当」の義務規定はない

育成就労制度の開始後も、技能実習は経過措置により一定期間続きます。
そのため、同じ団体が、技能実習の監理団体としての業務と、育成就労の監理支援機関としての業務を並行して行う場面は十分あり得ます。入管庁のQ&Aでも、施行日である令和9年4月1日後も引き続き技能実習生を受け入れている場合、監理団体の許可の有効期間更新が必要になることが示されています。

また、入管庁の「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」でも、施行日前に認定・申請済みの技能実習計画等について、施行後も一定の経過措置が設けられていることが示されています。

そのため、実務上は、技能実習側の外部監査育成就労側の外部監査が、同時期に必要になる可能性が高いです。

ただし、「同一の外部監査人が必ず両制度を並行して担当しなければならない」とまでは、明示されていません。これは分けて理解する必要があります。

なぜ並行の可能性が高いのか

理由は、制度ごとに外部監査人の関与が求められているからです。

育成就労では、監理支援機関の許可基準として外部監査人の設置が必要です。入管庁の育成就労制度Q&Aでも、監理支援機関の体制に関する許可基準として、外部監査人を設置していることが挙げられています。

さらに、OTITの監理支援機関Q&Aでは、外部監査人は、監理支援機関の各事業所につき年1回以上、育成就労実施者への監査に同行して確認することが必要とされています。

一方、技能実習でも、OTITの監理団体Q&Aにより、外部監査人は、監理団体の事業所ごとに年1回以上、実習実施者への監査に同行することが求められると整理されています。

つまり、同じ法人が
・技能実習の監理団体として残る
・同時に育成就労の監理支援機関にも移行する
のであれば、制度上、双方の外部監査対応が必要になりやすいのです。

同一の行政書士法人が、両制度の外部監査人を兼ねることはできるのか

結論として、原則として可能と整理しやすいです。

まず、育成就労側では、複数の監理支援機関の外部監査人を兼任することは、要件に適合し、欠格事由に該当しなければ可能とされています(OTITの監理支援機関Q&A)。

技能実習側でも複数の監理団体の外部監査人の兼任は可能とされています(OTITの監理団体Q&A)。

加えて、育成就労側のQ&Aでは、育成就労法施行前に技能実習制度における監理責任者等講習を受講した者も外部監査人に選任できるとされています。
これは、制度移行期に技能実習側の経験者・講習受講者を育成就労側でも活用することを想定している読み方と整合的です。

したがって、同一の行政書士法人等の外部監査人が、育成就労と技能実習をまたいで双方就任することを、正面から禁止する規定は見当たりません。

「並行の可能性」と「並行の義務」は分けて考えるべきです

この論点は、混同されやすいです。

現時点の一次情報から安全に言えるのは、次の整理です。

・技能実習の経過措置により、施行後もしばらく技能実習案件が残り得ること
・同じ団体が、監理団体と監理支援機関の機能を事実上並行して持つ可能性があること
・その場合、外部監査対応も並行して必要になる可能性が高いこと
・ただし、同一の外部監査人が必ず両制度を担当すべきとまでは明示されていないこと

したがって、HP上での表現としては、
 「経過措置3年間は、技能実習と育成就労の外部監査対応が並行して必要になる可能性が高い」
までは比較的言いやすい一方で、
 「同じ外部監査人が必ず両方やらなければならない」
と断定するのは避けた方が安全です。

行政書士法人が外部監査人業務を受けるときの実務対応

行政書士法人がこの分野を受けるなら、受任前に次のような確認が重要です。

まず、技能実習側と育成就労側の両制度で、現在どの立場にあるかを棚卸しすることです。
監理団体の外部監査人なのか、指定外部役員なのか、監理支援機関の外部監査人候補なのかで、兼務制限が変わるからです。

次に、傘下の受入企業・育成就労実施者との顧問関係を一覧化することです。
ここを曖昧にしたまま外部監査人を受けると、後から独立性に疑義が出ます。

さらに、契約も別責任となる設計が重要です。経過措置期間中は制度が複線化しやすく、後から「どちらの制度の、どの範囲を、どこまで見ていたのか」が問題になりやすいためです。これは法文上の明示ではなく、一次情報を前提にした実務上の推奨です。

谷島行政書士法人グループが伝えるべきポイント

谷島行政書士法人グループのHPでは、単に
「外部監査人を引き受けます」
と書くより、次のような価値の出し方が適しています。

制度移行期の外部監査人は、人数をそろえるだけでは足りません。
技能実習の経過措置、育成就労の新制度、監理団体・監理支援機関の両方のQ&A、そして利益相反管理を横断して見ないと、後から受任不能や独立性違反が起こり得るからです。

そのため、訴求としては、
 「兼任可否の診断」
 「経過措置3年間の外部監査体制設計」
 「顧問先との利益相反チェック」
まで含めて打ち出す方が、受任にもつながりやすいと考えられます。

まとめ

経過措置3年間において、技能実習と育成就労の外部監査対応が並行して必要になる可能性は高いです。
一方で、同一の外部監査人が必ず両制度を並行担当しなければならないとまでは明示されていません。

また、同一の行政書士法人が両制度の外部監査人を兼ねること自体は、原則として可能と整理しやすいものの、最終的には独立性と利益相反で判断が必要です。
とくに、傘下の受入企業との顧問関係や、指定外部役員・役職員との兼務関係は、受任前に厳密に点検すべきです。

出典:育成就労法と技能実習法と運用

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う 技能実習の経過措置について」
外国人技能実習機構「よくあるご質問(監理支援機関の許可申請関係)」2026年更新版
外国人技能実習機構「よくあるご質問(監理団体の許可申請関係)」

この記事の監修者

谷島亮士
谷島亮士

谷島行政書士法人グループCEO・特定行政書士
外国人雇用・ビザの専門家として手続代理と顧問アドバイザリーを提供。ビザ・許認可など法規制クリアの実績は延1万件以上。


- 講師実績
行政書士会、建設やホテル人材等の企業、在留資格研究会等の団体、大手士業事務所、その他外国人の講義なら幅広く依頼を受ける。

▶ ご依頼、セミナー、取材等のお問合せはこちら

- 対応サービス

  • 行政対応
  • 外国人材紹介
  • 外国人登録支援機関業務
  • TAKUMI人事

- 資格等

特定行政書士、宅建士、米国MBA、中国語(HSK2級)他


- 略歴等

・札幌生まれ、仙台育ち、18歳から東京の大学へ進学。
・自身が10代から15種ほどの職種を経験したことから、事業のコンサルと経営に興味を持ち、その近道と考え行政書士受験、独学合格(合格率2.6%)。
・行政書士・司法書士合同事務所を経験後、大和ハウス工業㈱に入社。「泥くさい地域密着営業」を経験。
・独立し業務歴15年以上、マサチューセッツ州立大学MBA課程修了、現在に至る。


- 取引先、業務対応実績一部

・企業:外国上場企業などグローバル企業、建設など現場系の外国人雇用企業
・外国人個人:漫画家、芸能人(アイドルグループ、ハリウッドセレブ)、一般企業勤務者他

03-5575-5583に電話をかける メールでお問い合わせ
ページトップへ